管理会社も大家さんも対応してくれない!
トラブルに対する法的義務が貸主側にあるなら、証拠を集めて訴えればいい…とはいえ、裁判なんてイヤですよね。
何より、貸主側に法的義務がない、つまり自分で何とかしなければならない場合、ぼくたち借主側は我慢するしかないのでしょうか?
そこで本記事では、法律ではなく「伝え方」で管理会社を動かす方法を伝授します!
パン
ぼくは伝え方コミュニケーション検定の『上級者』です。
本やセミナーで学んだヒューマン・スキルを実践しながら情報発信しています!
本記事を読めば、電話1本で管理会社を動かせるようになるはずです!
目次
管理会社が対応してくれないワケとは
新生活楽しみだな♪
…と思っていたのに、いざ入居すると問題が発覚することってありますよね。
例えば、こんな経験はありませんか?
- 洗濯用エルボ(L字配管)がない
- 虫がやたらと湧く
- 騒音が気になる
問題があっても、管理会社や大家さんが対応してくれるならいいんです。
でも中には対応してくれないケースもあります。
主な原因は次の3つです。
- 対応する責任がない
- 対応してもお金にならない
- 対応するのが面倒くさい
それぞれ解説しますね。
理由1:対応する責任がない
実は、入居者に対して責任を負うのは大家さんであって、管理会社ではありません。
どういうことかというと、管理会社の仕事は
- 家賃の回収
- 共用スペースの管理
- 退去後の原状回復チェック
などであって、入居者の快適な暮らしを維持することは業務に含まれていないようです。
でもほとんどの場合は「大家さんに伝えておきます」で終わってしまいます。
理由2:対応してもお金にならない
法的義務がなくても、善意で対応してくれるケースはあります。いわゆる「サービス」です。
サービスは本来、「相手に恩を売る」という目的があります。恩を売られた相手は「お返しに何かしたい」と考えるので、商売がうまくいきやすいのです。(返報性のルール)
ところが賃貸業の場合、入居者に恩を売っても返ってくるものがほとんどありません。すでに契約は済んでいます。あとは「どれほど長く住んでくれるか」だけです。
そして管理会社や大家さんは、簡単には退去しないとわかっています。周りを見ても「辞めたい」と思いながらなかなか転職しない人ばかりですよね。どちらも多大なエネルギーを要するからです。
そういう訳で、現在の入居者のトラブルを解決するより、空室を埋めることにリソースを割くほうが圧倒的に生産性が高いのです。
理由3:対応するのが面倒くさい
「法的義務」や「会社の利益」は理性的な理由ですが、感情的な理由によっても対応してくれないケースはたくさんあります。
管理会社も大家さんも、結局は普通の人ですからね。
ハッキリ言って面倒くさいのです。
想像してみてください。
あなたはフリーランスのウェブデザイナーです。心血を注いでイイ感じに作成したホームページを納品したのに、先方から何度も何度もやり直しを要求されたらウンザリしませんか?
管理会社や大家さんも似た心境にあります。違うのは先方が1人ではなく大勢という点だけです。
あなた以外の住民からも日々クレームが来ているわけです。
そしたら、どうしたって「面倒くさい」と感じるに決まっています。そうは思いませんか?
こうすれば管理会社が動いてくれる!
- 責任がない
- お金にならない
- 面倒くさい
以上3つの理由により、管理会社や大家さんは「ご自身で解決してください」というスタンスを取りたがります。
弁護士なら、自販機の下に落ちている10円玉を見つけるような目ざとさで「法的義務」を突きつけて管理会社を無理やり動かせるかもしれません。
でも賃貸に関する知識がないぼくたちがマネしても失敗します。相手は一応プロだからです。
かといって、自分で解決すると手間も費用もかかります。
どうして入居前によく確認しなかったのかな…
こんな風に後悔するしかないのでしょうか?
いいえ。うまく説得できれば、管理会社や大家さんは動いてくれます!
という訳で、ここからは説得の極意をご紹介しますね。
説得の極意とは
説得のコツではなく、説得の極意。
この「極意」とは、数あるコツの中でも核心的な部分のことを指します。
つまり「最も重要なコツ」ということ。
この極意をものにすれば、相手が管理会社でも、会社の上司でも、扱いに困るクレーマーでも、思い通りに動かせますよ。
その極意とは何かと言うと、ズバリ「相手の利益(不利益)について話す」です!
まずは説得がヘタな人について考えてみましょう。
説得がヘタな人の特徴
説得がヘタな人は大抵、自分視点で説明しがちです。
自分視点は「出来事をそのまま言うだけ」なので簡単です。それを聞いた相手は善意で動いてくれるかもしれません。
でも問題が大きいと「それはあなたの問題でしょ」となる可能性が高いです。なぜなら、その問題に対応することで少なからずコスト(不利益)が生じるからです。
例えば、入居者は「住人になってはじめて問題に気づいた」というスタンスで、以下のような説明をしがちです。
- アレがない
- こんな問題がある
- だから何とかしてほしい
この場合、管理会社は“自分を守るために”あなたの話を聞いています。
- ソレはこちらで用意する義務がない
- その程度なら我慢してほしい
- 法的義務がないため対応できない
対応すると余計な仕事が増えます。でも入居者が我慢、あるいは自分で解決してくれればコストゼロで済みます。
この状況を避けて管理会社(または大家さん)に動いてもらうには、相手視点で話をする必要があるのです。
説得するときは相手について話そう!
人を説得するときは、相手について話すことを意識してみてください。
- それをすれば、こんな得がありますよ
- それをしないと、こんな損がありますよ
人が動くのはいつだって「損得」です。法的義務によってではありません。
いくら義務があっても履行しない人はいますし、そもそもプロは義務が発生しないように事前に手を打ちます。
ですので、どちらに責任があるかを追求すると負ける可能性が高いです。ヘタに要求すると泣き寝入りするしかなくなります。
そうではなく「この問題を解決するとあなたにどんな利益・不利益があるか」を説明するべきです。
実例として、ぼくの体験談を1つご紹介しますね。
【体験談】担当者の説得に成功した話
入居前の内見では気づかなかったけど、いざ生活してみたら「洗濯用エルボにクリップがついていない」ことがありました。
とても些細な問題ですが、ぼくは不動産会社に解決してもらうためにメールしました。
洗濯用エルボ(L字配管)に排水ホースを固定するためのクリップがついていませんでした。お手数ですが、持ってきていただけますか?
メールを送ったときはムッとしていたので少し失礼な文面になりました(-_-;)
でもメールを送った後に「おそらく断るだろう」と予想。というのは、面倒くさいに決まっているからです。
それに、送ってから結束バンドを買って縛ればいいだけだと思い至りました。
とはいえ、不完全な状態で入居させたのは向こうの落ち度です。こちらが我慢するのではなく、あちらに動いていただくことにしました。
説得材料を考える。
準備OK。
それから少しして、電話がかかってきました。
その時のやり取りがこちらです。
担当者
メールを拝見しました。エルボが使えないのでしょうか?
パン
はい。洗濯機側の排水ホースは接続できますが、固定できないので困っています。
担当者
そうですか。お手数ですが、ご自身で結束バンドをご購入していただければいいのかなと思うのですが…
パン
そうですね。ぼくもそう思ったのですが、次の入居者が同じ問題にぶつかるのではないでしょうか?
ぼくが退去するときは結束バンドを切るので、結局クリップが必要ですよね。それでしたら、今ここで問題を解決していただくほうがいいと思いまして。
担当者
ああ…そう、ですね。わかりました。クリップは郵送することになると思いますが、数日お待ちいただかなければなりません。それでもよろしいでしょうか?
パン
それで全然かまいません!お手数ですが、よろしくお願いしますね。
こうしてメールと電話だけで問題を解決できました!
次は、対不動産で使える説得のコツを解説しますね。
管理会社のウィークポイントは「次の入居者」
管理会社や大家さんを説得するなら「次の入居者」を引き合いに出すとうまくいきやすいですよ。
- 次の入居者はお金になる
- 次の入居者にまた言われる可能性大
- 問題を放置して出て行かれても困る
→それなら、今問題を解決するほうがマシ
要するに、次の入居者を引き合いに出すと「相手の利益と不利益」を簡単に刺激できるのです!
- 自信を持って次の入居者におすすめできる
- 次の入居者からクレームが来なくなる
- 今の入居者(あなた)に長く住んでもらえる
- 今の入居者(あなた)が退去する
- 退去されても問題は残る
- 契約中の大家さんの心証が悪くなる
説得材料は次の入居者ではなく「法的義務」でもOKです。責任を履行すると、あるいは履行しないとどうなるかを説明すれば対応したくなるでしょう。
なので「法的義務」で説得するのはおすすめはしません。
「利益」と「不利益」のどちらが響くかは人による
ここでさらに説得のコツを伝授したいと思います。
説得は相手の利益・不利益を想像させるとうまくいきますが、そもそも利益と不利益のどちらが響くかは人によります。
例えば、こちらを見てください。
- 簡単です!
- 難しくありません!
伝えているメッセージは同じですが、おそらくあなたはどちらか一方をより強く受け取ったのではありませんか?
これは、人によって「簡単だったらいいな~」と思う人と「難しいのはイヤだな~」と思う人がいるためです。
前者は希望型、後者は慎重型と言います。
したがって、相手に合わせて説得すると効果バツグンですよ!
- 希望型←行動すればどんな利益が得られるか
- 慎重型←行動すればどんな不利益を回避できるか
とはいえ、いちいち「この人はどっちのタイプかな?」と考えるのは面倒くさいですよね。
ですので、できる限り「どちらも伝える」といいですよ!
いきなり文句を言うのではなく、「相手の利益と不利益」を考えてから説得してみてください。
きっと思い通りに相手を動かせるようになるはずです!
まとめ:「相手」について話すと対応してもらえる!
人を説得するときは、相手の立場で利益(不利益)について話す。
これが「説得の極意」です。
管理会社はあなたを満足させてもお金にならないので、まずはソコを理解してあげてください。
そのうえで、あなたに対応するとどのような利益があるか、どのような不利益を避けられるかを説明しましょう。
そうすれば、対応してくれる可能性がグンと上がりますよ!
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今回は以上です。